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冨士屋ホテルについて

  • 鉄輪温泉写真

    鉄輪(温泉)

    日本を代表する温泉都市、別府。その中でも鉄輪温泉は湯治文化の面影を色濃く留めています。

    湯治とは療養や治療を目的として温泉施設に長期間滞在することです。客は湯治宿の貸間で寝食を過ごし、温泉蒸気を利用した蒸し料理「地獄蒸し」を食べ、温泉でじっくりと身体を温めて自然治癒力を高めます。温泉の持つ可能性については今も様々な研究が進められており、鉄輪でも現代のスタイルに合ったショート滞在型の湯治が提案されるなど、新たな取り組みが始まっています。

    けむりが立ち昇る独自の景観は「別府の湯けむり・温泉地景観」として重要文化的景観にも選定され、この地を訪れる人々に非日常の癒しを提供し続けています。

  • 鉄輪温泉写真

    一也百(はなやもも)ホール&ギャラリー

    この建物は明治32年(1899年)に建てられ、大正、昭和を経て平成8年まで「冨士屋旅館」として多くの人々を迎え入れました。玄関に千鳥破風を誂えた本瓦葺き木造二階建てという立派な外観は120年前から現在まで鉄輪のランドマークであり続け、湯治文化の歴史を今に伝えています。

    別府亀川の大工、豊嶋彌九郎棟梁をはじめ、木引、石工、左官など多くの職人の手によって造られたことが記録に残っており、母屋、前門、石段、石垣のから成る景観は高い評価を受け、平成13年に登録有形文化財に認定されました。手痕が色濃く残る人力による仕事は、現代の建物とはひと味もふた味も違った風格が随所に漂っています。

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    「みはらし坂」から鉄輪の町を見渡せば、冨士屋の屋根がひときわ存在感を放っており、寄棟造りの屋根全体に敷き詰められた瓦が朝日を受けて輝く姿は印象的です。独自の色彩「いぶし銀」が特徴の瓦のほとんどは明治の建設当時のもので、古くから瓦の産地である大分市坂ノ市から運ばれました。冨士屋では大棟やひさしの瓦が漆喰で塗られており、黒と白の美しいコントラストを魅せてくれます。昭和30年代頃まで別府の民家の屋根の多くは漆喰で塗られていたことを古写真が伝えていますが、台風や鶴見おろしなどの強風から家を守るための暮らしに根付いた郷土風景でした。近年の修復ではあえてその様式を踏襲し、伝統の外観を今に伝えています。

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    石の仕事

    鶴見岳の噴火により流出した安山岩は通称、別府石と呼ばれます。別府の街を歩けばいたる所で別府石を使った意匠を見ることが出来ます。冨士屋の前の細い坂道にも別府石を貼った石畳が残っています。これも冨士屋を建てた安波利吉氏が造ったもので明治時代の遺構です。また、その道沿いに築かれた石垣も建設当初のままの姿で、門へ続く石段とともに重要文化財に指定されています。石と石に隙間が無い精巧な積み上げ技術は驚くべきもので、120年以上が経ったとは思えない程に美しい姿を留めています。まだ重機が登場する前の時代の丁寧な手仕事には、職人の情熱とその仕事にかけた時間の長さまでもが宿っているかのようです。

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    窓 採光 空間 フレキシブルな空間

    明治以降の近代化は、先進的な西洋文化が徐々に日本の風景を塗り替えてゆく時代とも言えますが、「窓」に関しては共存が選ばれたようです。冨士屋でも、西洋式のガラス窓と、日本式の障子を併用しています。寒い冬はガラス窓を閉め外気を遮断し、暑い夏は開放し、風を通し、障子の和紙が光と音を柔らかく調整するのです。特に和紙を通した淡い光は日本人の美意識を育みました。二階のホールでは庭木のウスギモクセイの枝葉がフィルターとなって爽やかな緑影を落とし込んでくれます。また、風の音や小鳥の鳴き声も、室内を構成する大切な要素です。和紙が張られたフレキシブルな障子は日本人の美学に欠かせない物として、現在まで愛されているのです。

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    庭 樹木

    庭園の条件として、花や樹だけでなく、亭(建物)が欠かせないことを古文書は伝えています。自然と人の営みが調和する世界こそ理想であるという考えが「庭」にはあるのです。日常を忘れ一時の理想郷に浸るための旅館として建てられた冨士屋も当然その哲学を継いでおり、ツワブキやホトトギスなど、野花が咲きほこる素朴な露地庭を擁しています。中でも特別保護樹林に指定されている樹齢220年のウスギモクセイは一見の価値があります。冨士屋だけでなく、鉄輪の町のシンボルツリーともいえる存在で、秋には爽やかな香りを漂わせ、常緑の枝葉を広げ、庭と建物内にさわやかな木漏れ日をもたらします。

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    土壁

    玄関の扉を開けて歩を進めると、別府湾をイメージしたという鮮やかな壁が目に飛び込んできます。波を象ったテクスチャーはまさに夕陽に照らされた海のようです。このロビーと床の間のある座敷の壁は、日田市の原田左研によって令和6年に塗り変えられました。橙色をした土は自然の色で、日田の神来という地区で採れたものです。冨士屋は建設当時から現在まで度々改築を行っており、間取りも用途に合わせて変化していますが、竹を縦横に組んだ木舞という下地を活かした明治期からの土壁も各所に残っています。土の壁は高度な調質機能とリラックス効果を保持しており、湿潤気候の日本に相応しいものとして、近年その価値が見直されてきています。

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    建築意匠

    日本建築といえば書院、数奇屋、茶室など代表的な形式がありますが、いずれも建物は主の個性を写すという役割を兼ねています。主は自身の趣味趣向を庭の草木、玄関や欄間の意匠、木材の材質などに散りばめ、自身がどのような人物であるのかを示すのです。特に床の間は掛軸や花などのしつらえを通して、もてなしの心を日替わりで表現する場として機能しました。明治後期の建設である冨士屋は、書院の格式と数奇屋の自由さが同居するような趣を擁しています。平成と令和以降も古様を踏襲しつつ現代的なセンスを散りばめた改築が施され、魅力的な建物を造ろうとする主とそれに応えようとする職人達との思考錯誤の跡が刻まれています。

SUSTAINABLE

サステナブルな鉄輪温泉

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    Cross Laminated Timber

    木の力で、未来をつくる。
    — CLT工法

    CLT(Cross Laminated Timber)とは、ひき板を層状に重ね、それぞれの層の繊維方向が直交するように接着した、大判の木造パネルです。
    温泉地だからこそ、木造で100年以上続くHOTELをつくる――その想いが、目には見えない建物の構造の中に息づいています。

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    Geothermal Heating

    別府温泉ならではの
    地熱暖房

    温泉の地熱を活用した地熱暖房を導入しています。温泉から生まれる熱が館内をやさしく包み込み、冬でも心地よい温もりに満たされる空間となっております。自然の恵みをそのまま生かした、やわらかな温もりに身をゆだねながら、ゆったりとお過ごしください。

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    Hell Steamed Food

    温泉をいただく
    地獄蒸し料理

    別府鉄輪の名物 「地獄蒸し」 をご堪能いただけます。温泉の噴気を活かして食材を蒸し上げる、伝統の調理法。
    余分な油を使わず、素材本来の旨みを引き出します。ふっくらとした仕上がりと、温泉由来のミネラルがもたらす奥深い味わい。
    ここでしか体験できない、温泉と食が織りなす特別な時間をお楽しみください。

INTERVIEW

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